BPRについてのよくある質問(FAQ)
Q01: 殺生物性製品規則の対象は消毒剤や防虫剤のように混合物だけを考えればいいのですか?
A01: 殺生物性製品に対するEU法令は当初の「指令」という形式から「規則」に変わり、同時にREACHで定義された「アーティクル」の一部も対象に加えられました。 この為、抗菌処理された日用品や電気製品なども対象となる場合があります。
Q02: 処理されたアーティクルとはどのようなものなのですか?抗菌などの機能はなく、保存のためにしか使っていなければ対象外でしょうか?
A02: 英国のHSEのFAQによれば、次のような3つのものに大別されるという考え方があります。
1. 防腐処理がしてある公園の木製のベンチのように、木製のベンチ(アーティクル)、それ自身の機能が維持される為に必須な機能(腐ったらベンチとして役に立たない)として防腐処理されているようなケース。
2. 抗菌処理の施されている靴下のように、付加的な機能としてアーティクルに処理がされているもの。この場合、抗菌機能がなくなってからでも靴下を履き続けることはできる。
3. 不織布に消毒剤を染み込ませたもの。 布はアーティクルでこれに処理が施されており、主たる機能が消毒である。従って消毒機能がなくなったらその不織布は本来の機能はないということになる。 この場合は処理されたアーティクルであると同時に「殺生物性製品」となり、認可申請が必要となる。
Q03: 抗菌剤を購入して自社商品であるアーティクルに抗菌処理後、EUに輸出しようとしています。当社はこの抗菌剤を承認申請する必要がありますか?
A03: 購入する抗菌剤がEUで活性物質として、その製品タイプを含め承認済みであるか、レビュープログラムに組み入れられ評価待ちであるなど承認済みと見做されたものでなければ、それで処理されたアーティクルも輸出は認められないでしょう。 抗菌剤のサプライヤーが既に承認取得済みであれば、貴社が重複して承認申請をする必要はありません。
Q04: 処理されたアーティクルであれば、承認済み活性物質を使用する限り、自由にEUに輸出できるのですか?
A04: 例え、使用する活性物質が活性物質の承認リストに収載されていたとしても、承認条件に含まれてる製品型式分類(PT)が一致していなければ、それで処理されたアーティクルをEU輸出できるわけではありません。 例えば、冷却システムの保存剤に該当するPT11で承認されたものをそのまま、プール用の消毒剤や殺藻剤として使えるわけではありません。
Q05: 当社が輸出する商品がEUにて販売後、空気中の成分と反応して殺生物特性を発揮します。当社が輸出する時点では殺生物性の物質は含まれませんのでBPRの対象外として構いませんか?
A05: 殺生物性製品規則では、新たに「in-situ generated active
substance(その場で初めて生成される活性物質)」も規制の対象となりました。貴社の商品(アーティクル)が使用段階で反応によって生成する活性物質が未承認の活性物質ならば、「未承認の活性物質を組み込んだアーティクルは上市できない」という原則に触れる為、輸出は認められないでしょう。
Q06: 空気中の浮遊細菌を殺菌させる為の装置があり、殺生物性薬剤を使うことなく、オゾンが発生します。このような装置は抗菌剤を含有しているわけではないのでBPRの対象外と考えてよろしいですか?
A06: オゾンによる殺菌という殺生物特性を意図しているので、BPRの「in-situ
generation」の定義に相当するケースとなります。 発生装置そのものも活性物質と一体と見做して実質的にEUの承認評価が必要になると思われます。 場合によっては殺生物性製品として更に「認可取得」も必要になるかもしれません。
Q07: 当社は日用品をEUに輸出しようとしており、その製品は利用者が頻繁に触れる取っ手の部分にいわゆる抗菌処理をしています。 使用する抗菌剤は承認済みのものを使いますのでアーティクルとして認可などの手続きは不要と考えますが、それでよいでしょうか?
A07: 承認済みの活性物質のみを組み込んだ処理されたアーティクルで、主たる殺生物機能などを有しない、又公衆衛生用途でないなどの要件を満たしていれば、認可取得の必要はありません。 但し、殺生物訴求などの要件に該当する場合はいわゆるラベル要件を満たさなければなりません。
Q08: 当社の製品は本来美容の為の製品ですが、ある種の微生物に対し抑制の機能も併せ持っています。このような製品はBPRの対象になるのでしょうか?
A08: その製品がEUの化粧品規則の定義に含まれる化粧品であれば、第2条(2)の規定により、もし、BPRの殺生物性製品の定義に合致していたとしてもBPRが適用されることはありません。
Q09: 殺生物訴求をしないなどの結果、ラベル要求の対象から外れる処理されたアーティクルなら、BPRでは承認された活性物質を使うこと以外、何も要求されないのですか?
A09: ラベル要求の適用外であっても、BPRの第58条(4)や(5)の適用を受ける為、サプライヤーには使用している活性物質の情報などを含め、消費者から要求があった場合には45日以内に、その殺生物処理に係る情報を無償で提供する義務があります。従ってそのサプライチェーンの末端までそれを伝達できるようにする為にはBtoBでそれをきちんと伝えていく必要があるでしょう。 ラベル要求がないとしても実質的には伝達情報の管理が必要だということです。
Q10: 当社は化学材料メーカーで成形品(アーティクル)メーカーに材料を供給しています。その材料は使い方によっては殺生物特性を発現させる為に用いることも可能です。当社もそのアーティクルメーカーも殺生物特性の発現を意図しないで、その顧客企業がEUに上市しようとする時はその材料について、BPRでいう承認を得なければならないのでしょうか?
A10: 貴社がEUに輸出するわけでなければ、貴社に直接規制がかかってくるわけではありません。この場合は顧客企業がEUに輸出する製品(アーティクル)がBPRの対象になるかどうかで判断するべきです。顧客企業の扱う製品はアーティクルということですので、BPRの定義による第3条(1)(a)及び(l)に該当しないかを確認する必要があります。もし、これらに該当する場合は、それに使用する活性物質は承認されたもの以外は使用できません。しかし、殺生物特性を発現させる意図がないのであれば、それら定義から外れると考えられる為、貴社の材料に活性物質としてのEU承認は求められないと思われます。 但し、顧客企業が途中から抗菌性を訴求したいと言い出しても、貴社材料で新たに承認を得るには時間も、費用もかかるでしょうから、顧客企業にはその点を理解しておいていただく必要があるでしょう。 更に、BPRで対象の活性物質でないからと言って、まったくフリーにEU向け製品に使用できるわけではありませんので、他に適用される法律がないかも確認されるべきでしょう。
Q11: 抗菌処理されている靴下や衣類はBPRの対象となりますか?
A011: 抗菌処理された靴下などは「処理されたアーティクル」としてBPRの対象であり、付属書Ⅴで規定される製品型式分類(PT)9に相当すると考えられます。このような製品はいわゆる抗菌作用がなくなっても本来の靴下としての機能がなくなるわけではないので認可申請の必要な殺生物性製品には相当しません。
Q12: 抗菌作用のあるとされる銀が使われている歯ブラシは「処理されたアーティクル」にあたりますか?
A012: このような歯ブラシは「処理されたアーティクル」に相当し、製品型式分類は、やはりPT9になると考えられます。ブラシ繊維に練り込まれた銀が摩耗などで抗菌作用を失っても歯ブラシとしての機能は存続できると考えられるからです。しかし、排出された銀が環境に影響を与えるリスクがあるという声も上がっています。
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